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新入生特設ページ

このページは、新型コロナウィルス感染症拡大防止に伴って、対面でのガイダンスが行えない状況のもと、2020年度法学部新入生の皆さんに様々な情報を提供すべく開設したものですが、2021年度以降の新入生の皆さんにも参考になると考えるものです。

  • 成城大学法学部での学び
    学科主任 山本弘明教授

  • 法学資料室の利用について
    法学資料室

  • 「法学について」
    浦山准教授

  • 「政治学について」
    田嶋教授

  • 「語学について」
    永井教授

1年次担当科目 担当教員からの「新入生へのひとこと」

松田 浩(憲法Ⅰ担当)

みなさんにとって憲法は予想外に難しいはずです。そもそも憲法典の条文数が少なく、教科書にも抽象的な原則ばかり並んでいることもその一因です。こういう「法」を現実の事件に当てはめて、妥当な解決を見いだすのは至難のわざでしょう。たとえば今、皆さんはStay Home!という都知事の「お願い」を受けて、可能な限り行動を「自粛」しているはずですが、これは「強制」ではないから、憲法上の自由の不当な制約とはならないでしょうか? そもそも強制とはどういうことでしょうか? また仮に欧州諸国のように罰則をつけて強制できるとしたら、どのような要件が必要でしょうか? それとも日本の憲法の下ではどんな要件をつけても強制できないでしょうか? こういうことを考えるのが憲法学の課題です。まずは開講までに、教科書に指定した只野雅人・松田浩編『現代憲法入門』の第Ⅲ部「基本的人権」(少なくとも第9、10章)を読み進めてください。

亀岡倫史(教授、民法学)/担当科目:民法Ⅰ(総則)

民法は、私たちの市民生活を規律する「社会の基本法」です。民法の授業では、民法に定められたルールの解釈論を学びます。皆さんには民法の基底にある基本的な思想を理解するとともに、民法に定められたルールに従って私的紛争を解決する術(すべ)を身につけてもらいたいと願っています。学習にあたっては、六法を手元に置いて民法の条文をこまめに参照してください。『ポケット六法 令和2年度版』(有斐閣、2019年)がお勧めです。また、開講までに、米倉明『プレッブ民法(第5版)』(弘文堂、2018年)を一読して民法で問題となる事柄、民法の規定の仕組みを学んでおけば、私の担当科目である民法Ⅰ(総則)の理解が容易になりますよ。薄くて読みやすい本なのでぜひ。さらに、法律学の勉強の仕方などについては、弥永真生『法律学習マニュアル(第4版)』(有斐閣、2016年)に目を通すとよいでしょう。4年間座右に置いて使い続けられる本です。

森永淑子(教授、民法学)/担当科目:民法Ⅳ(債権各論)

新入生の皆さん、成城大学法学部へようこそ。皆さんには、亀岡先生の民法Ⅰとともに私の担当科目である民法Ⅳを受講してもらうことになります。この講義は、私達が物を買ったり借りたりする際に用いられる「契約」と、交通事故などの場合に問題になる「不法行為」と呼ばれる制度を二本の柱としています。私達の日常生活がどのようなルールの上に成り立っているのか、具体的な事例を想定しながら学んでいきましょう。
開講日までは、身近なことから日々のニュースまで、自分の気になった事柄などをメモしておき、それが法律や政治・行政に関わるのかを考えたり調べたりすることを心がけてみてください。また、比較的入手しやすい本として後藤昭『新版 わたしたちと裁判』(岩波書店、2006)[情報が古くなっている所もあります]や森炎『裁判所ってどんなところ?』(筑摩書房、2016)など裁判や裁判所に関する一般書に目を通してみるのもよいでしょう。

山本輝之(教授、刑法学)/担当科目:刑法Ⅰ(概論及び犯罪成立要件)

 皆さん、御入学おめでとうございます。
 刑法は、どのような行為をしたときに犯罪となり、それに対してどのような刑罰を科すかということを定めた法律です。そこに定められている規定に違反する行為(例えば、殺人、窃盗)を行った場合には、刑罰(例えば、死刑、懲役刑)という厳しい制裁が科されるということが、他の法律とは異なる刑法の特色です。フレッシュな頭脳を持った皆さんには、刑法における様々な問題点について、既存の考えにとらわれることなく、自分の頭で柔軟にその合理的な解決を考える訓練をしていただきたいと思います。開講までに、山口厚『刑法入門』(岩波新書、2008年)を一読することをお勧めします。また、井田良『基礎から学ぶ刑事法[第6版]』(有斐閣、2017年)は、刑事法(刑法、刑事訴訟法、刑事政策)全体を案内する入門書としてお勧めです。

鋤本豊博(教授、刑法学)/担当:刑法Ⅰ

緊急事態宣言が出され、気分が滅入って来る反面、失ってみなければ分からなかった価値あるものの存在に気づかされている方もおられるのではないでしょうか。そんな皆さんに「大学の学び」について一言申し上げます。

入学後は、これまで以上に多くの情報に接することになりますが、人は自分の主観から逃れる術はありませんので、客観的な事実・真理を伝えることは不可能であり、必ず情報には発信者のヴァイアスが伴います。なので、①自明なものを自明とせず疑ってかかること、②いかに権威のある人の知見でも自分で調べて納得できなければ受け入れないこと。③情報量が処理能力を上回ると人は集中力と批判的思考力が低下し、自分の感覚にマッチする情報だけを受け入れる傾向に陥ること、に注意して取り組んで下さい。 あと、講義が始まるまでに、読みやすいと思う入門書を、購入したその日に通読しておけばよいでしょう。

佃陽子(准教授、アメリカ研究)/担当科目:英語I(総合)

皆さんの中には、受験を通して積み上げた英語力が、開講延期で鈍るのではないかと心配する人もいるかもしれません。ですが、今ほど、多言語で世界の情報を収集・分析する能力が問われている時はありません。グローバル化がもたらしたCovid-19感染拡大に立ち向かうには、グローバルな情報共有が必要不可欠です。皆さんの手元に教科書が届くのにはまだ時間がかかりますが、今手元にあるスマホを使えば、世界中の最新の情報に一瞬でアクセスすることができます。皆さんは成城大学で遠隔授業を体験する最初の新入生です。Trailblazerとして、オンラインで多言語の情報収集をする技術とリテラシー能力を磨いておいてください。ネットで海外の新聞や雑誌を読んでみましょう。海外セレブのツイッターをフォローする、海外スポーツを現地の実況で視聴する(私はこれ)など、趣味から始めてもいいです。まずはリモートで、そして教室でお会いできる日が早く来るのを楽しみにしています。

太田 晋(教授、英米文学)/担当科目:英語I(総合)

ようこそ成城大学法学部へ。でもあなたの今いるそこは家。家って楽しいよね! ちなみに引きこもりは英語でもhikikomoriと表記されることがあり、合衆国ではHikikomori and the Rental Sister という小説も出版されています。なにこのラノベくさいタイトル。シスターをレンタルかよ。ちなみに未邦訳。
 法学部における、新入生を対象とする英語科目は、ざっくり言って3つあります。英語Ⅰと英語Ⅱと英語Ⅲ。まんま。
 英語Ⅰは高校までの英語をベースとした総合的な入門といったところで、オーソドックスな訳読の授業が比較的多いかな。ちなみにクラス指定で必修なので逃げ場なし、回避不可。
 ひとつとんで英語Ⅲはコミュニケーション主体で話したり聞いたり。「ぼっちなめんな」という人も、取って食われるわけではないのでまあ怖れずに。
 そして訳読と会話の間の広大なグレーゾーンのすべてをカヴァーするのが英語Ⅱ。広い意味での一歩進んだ「実践」ということで、いろいろやってます。ちなみに英語Ⅱと英語Ⅲは必修ではなく、1年次に取らなくてもまあOK。
 そうそう、2年次以降に「英語補講」というのがありますが、これは1年次に努力すると履修できなくなる科目なので注意してください。
 ……そんな胸踊る授業たちがあなたを待っているわけですが、開講まではさしあたり高校までの英語教科書や参考書を読み返したりしておくのが吉かと。逆に言えば、そういう基礎的な単語や文法の知識さえきちんとしていれば大丈夫。それでもまだヒマなら、Hikikomori and the Rental Sister を原書で読んでみるのもいいかも。私は読んでませんが。

日名淳裕(准教授、ドイツ語)

ゲーテは「外国語を知らない者は自らの母語について何も知らないWer fremde Sprachen nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen,」と言いました。一見、外国語学習を奨励する教育的格言のようですが、原文にある二つの「知る」という言葉にはそれぞれ異なった動詞が使われています。最初の「知る」は「体験を通して知るkennen」という動詞の、二つ目の「知る」は「知識として理解するwissen」という動詞の活用形です。さらに二つの動詞は文章の中で「kennt, weiß」のように衝突しています。つまりこの短い文章は「外国語と母語」を例えとしつつ「体験と知識」の葛藤を表現しており、それは広く人生の比喩へと展開されるのです。ドイツ語の学習にあたっては、様々な書籍を乱読し、その印象を自らの言葉でつづるなど日常的に言語一般に対する感覚を磨いておくことが重要です。

永井典克(教授、フランス語)/担当科目:フランス語初級

日本はわずか170年ほど前まで鎖国をしていて、外国とあまり接点がありませんでした。開国した時、世界の中心だったのはアメリカではなく、まだヨーロッパ、特にフランス、ドイツでした。このため、現代の日本の芸術、音楽、医学、文学、法学などの分野に、フランス、ドイツの影響は多く残っています。私たちは自分たちの文化的ルーツを知るためにも、フランス語、ドイツ語をしっかり勉強しておく必要があるのです。それだけではなく、現在の世界は乱暴に分けるとアメリカ、中国、ヨーロッパの3つの経済圏に分かれます。ヨーロッパ系の言語を理解できれば、今後、大きな武器となることでしょう。

フランス語、ドイツ語は初めて勉強する言葉ですので、不安もあると思います。詳しい話は講義でしますが、ヨーロッパ系言語は英語とほぼ同じ文法、単語を使っています。授業開始まで、しっかりと高校までの英語(特に文法と単語)の復習をしておいてください。

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